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蛇と平和 鋼鉄の檻が眼前に広がる。冷たい空気と独特の臭いが立ち込めるが、その前に立つ二人には慣れた空気だ。 突如、檻が轟音を立てる。柵には巨大な手がかけられ、中で唸るそれはもはや知性を感じさせない。 さながら『動物園』とでも言うべき光景だった。 「……先祖帰りだな」 檻の前に立つ者の一人が言った。 もう一人がすぐに返す。 「確認しただけで六人……。本人がこれじゃ事情聴取も出来ない」 「実際はどうだと思う? 久藤」 「本人は単なる生活の一部として犯行に及んだ。最初の事件から日付から考えれば……」 「そうか」 久藤と呼ばれた人間は檻に近づき、スプレーを吹き掛けた。中に居た熊は叫んで、奥へと待避する。 「止めろ久藤。あとで訴えられたら面倒だ」 「ほっとくわけにもいくまい。この怪力じゃ壊されかねない。お前には出来ないしな。薮田?」 「イヤミのつもりか?」 薮田と呼ばれた蛇はするすると檻の前まで行き、久藤と並ぶ。 「……こうなってしまえば、どうにもならないか」 「ああ。おそらく精神病棟にブチこまれるだけだ。治療しようにも本人に理解出来るだけの知性が無くなってる」 「悲しい事だな」 「フン。殺された被害者の前では言えないな。熊が相手じゃほとんどの連中じゃ手に負えない 今回も結局は実弾使って、それでもまだ生きている程だ」 薮田はチロチロと舌を出しながら、中の『野獣』をじっと見つめる。 「私ならこんなマネはしでかさないがな」 「冗談言え。お前ならもっと狡猾にやるだろう?」 「そうだ。もっと上手く、確実に。自分に被害が及ばないようにやるだろう。だから私はやらない」 「警官にあるまじき発言だぞ」 「警察は甘くないと言ったんだ」 「……蛇め」 「それは侮辱のつもりか?」 二人は留置所から外へ出る。 久藤は紙コップのコーヒーを飲みながら、先程の容疑者について思いを馳せる。 何故か防ぎようがない、『先祖帰り』による殺人。 「知性の代償かもな」 薮田は言った。 「どういう意味だ?」 「……いくら知性を得たとて、所詮は我々に根差す本能は消えはしないって事だよ。 だが、知性を得た事によって危機を防ぐ能力は大分衰えた」 「それを進化と言うんじゃないのか」 「さぁな。どちらにせよ、本能は消えない。私もお前もな」 「捻くれてるな」 「そういう種族さ」 二人は車に乗り込み、街へ出る。 仕事は無いほうがいい。何事も無く、皮肉屋の蛇の小言と一緒に街を流す。それだけでい。 久藤はそれを平和と呼んでいた。 「今日は冷えるな」 薮田が言う。 小雨が降っていた。車の屋根を叩く音はさーさーと心地よく車内に響いてくる。 薮田はしっぽの先で器用に缶コーヒーを持ち、久藤の運転する覆面パトカーの助手席に丸まって座っている。 人間である久藤にとっては涼しい程度だが、蛇の薮田には多少堪える気温だった。 「そんな薄着だからだ」 「これ以上着込む必要もない。私にとってはジャマなだけだ」 薮田の来ている蛇用の衣服は薄手だが特別な保温性を有している。蛇の身体特性を失わない程度の柔軟性と、体温の低下を阻止す機構を備えた優れ物だ。 「制服着てた頃が懐かしいか?」 「あんなのはもうゴメンだ。蛇に帽子はいらないさ」 「今よりは暖かいだろう」 「動きにくいだけだ」 なんて事の無い会話だった。今日も、このまま薮田の小言に付き合って一日が終わる。そのはずだった。 二人の乗る車は墓地の辺りを通る。雨は既に霧となり、雰囲気はB級ホラー映画のようだった。 警察署から市街へと向かう近道として、彼らはよくここを通る。昨日は徹夜で仕事に追われていた二人はさっさと家に帰ろうと、この道を選んだのだ。 時刻は、朝の五時半をちょうど回った頃だった。 「なんだあいつら?」 久藤は霧の奥の人影に気づく。車を止め目を懲らすと、猪と体格のいい虎が何やら話し込んでいる。 「こんな時間に墓参りするか?」 「さぁな。私ならやりかねないが……。墓参りの雰囲気でもないな。墓を見ていない」 「よし、行こう」 「また徹夜かもな」 二人は車を近づけ、素早く横付けにする。車を降りながら警察署手帳を見せつけ、職務質問だと告げた。 「ここで何してる?」 久藤の質問に猪はありきたりな答を返す。 「墓参りだよ。今しか時間が無かったんだ」 「花も持たずにか? 墓参りならなぜ道路の脇で話し込む?」 「たまたまだよ。もう終わったし帰る所だ。」 やはりと思う。 猪の解答は筋が通っている。あらかじめ用意された解答のように。 「持ち物検査を行う。協力してくれ」 「持ち物検査? 冗談じゃねぇ。俺が何したってんだ」 「さぁね。それを今から調べるんだ」 猪は明らかにうろたえている。普通なら怪しまれれば身の潔白を正銘しようと協力的になるか、より攻撃的になる。それならば最初の段階で取り付く島も無いはずだ。 持っている。 久藤の勘はそう言っている。 「拒否するなら公務執行妨害だ。どうする?」 「ふざけんじゃねぇよ! 俺が何かしたかよ!!」 「うろたえすぎだ。観念して指示にした――!」 突如、横に居た虎が久藤を突き飛ばす。 体格差が有りすぎた為か久藤は紙屑のように飛ばされ、派手に尻餅を付いた。 「ううううううぅうう………」 虎の声はもはや言葉となっていない。憎しみを込めて唸っているだけだった。 「やりやがって……!」 久藤はなんとか立ち上がり、目線で虎を追う。それを見ていた猪は虎とは反対の方へ逃げだそうと走りだす。 待て! そう言おうとした矢先、猪の膝に鞭のような物で一撃が加えられた。薮田だ。 たっぷりとしなりを効かせたしっぽの一撃は並の威力ではない。 猪は情けない声を上げて転倒し、薮田はそれに瞬時に絡みつく。 「うご………! 放せ! 放しやがれ!」 「喚くな猪風情が。このまま締め上げて殺す事も出来るぞ。全身の骨を砕いてな」 薮田は感情の無い目で言う。ただの脅し文句だが、暴れる犯人を震え上がらせるには十分だ。 「久藤! 逃げた虎を追え。コイツは私に任せろ」 「わかった。すぐ戻る」 久藤は懐から拳銃を取り出す。相手は虎。それも錯乱している可能性がある。嫌な予感が頭を過ぎっていた。 スライドを引いてチャンバーに弾薬を送り込み、安全装置を外す。 「朝から撃ちたくねぇけどな」 走りながら愚痴を言うが、誰も聞いてはくれない。 虎はフラフラと歩いたり走ったりを繰り返し、半地下の納骨堂の前につく。 ちょっとしたレンガ造りのトンネルに入り、壁に寄り添いうなり声を上げていた。 「警察だ! 止まれ!」 銃を構えお決まりの事を言う。 映画ではこれで止まる者などいないが、実際はこれ以上の脅しは無い。ほとんどの連中は大人しく従う。 一方虎は、壁に頭をズリズリと擦りながら声を上げ続けている。 「警察だ! こっちを向いて止まれ!」 もう一度怒鳴る。虎の耳にも届いたのか、ゆっくりと久藤の方を向いてくる。 その顔は既に感情に飲まれている。 目は血走り、口からはよだれがだらだらとこぼれ、野獣のような唸り声を漏らす。 「両手を頭の後ろに置いて地面に伏せるんだ! 今すぐ!」 虎は一歩前に出る。指示に従う様子は無い。その視線からは明確な敵意が伝わってくる。 「指示に従わなければ発砲する! もう一度言うぞ! 止ま――」 久藤が言い切る前に虎が飛び掛かる。 猫科特有の瞬発力を用い、その巨体が久藤の上にのしかかる。 上を取られた久藤はあえなく下敷きになる。 「うううう………。うあアアッァァァアア………!!!」 もはや声とは呼べない。錯乱した虎は爪を久藤の身体に食い込ませようと何度も爪を立てるが、下に着込んだボディアーマーが邪魔をする。 うまく行かないとみるや、今度はその長い牙で喉元に噛み付こうと大口を空け顔を近づけてくる。 「舐めやがって……!」 久藤は銃を握ったまま鉄槌を虎の顔面に打ち込む。グリップの底が虎の牙に当たり、久藤は確かな手応えを感じた。虎が叫ぶと同時に、今度は耳の下の急所にも同じ攻撃を加える。 虎が一瞬怯んだ隙を見て久藤はそこから脱出し、距離をとって再び銃口を向ける。 「うううううううううううう…………!!!」 虎はまだ敵意を表す唸り声を上げていた。 口からは血が流れている。最初の一撃で牙が折れていたのだ。 「今度こそ止まれ。次は警告無しだぞ」 その言葉は届かないだろう。事実、虎はまた久藤ににじり寄るってくる。 そして、霧のかかった朝の墓地に銃声が二回、連続して響いた。 ※ ※ ※ 「虎からLSDが検出されたわ」 「そうか。あの猪野郎も持っていた。奴が売人だな」 薮田は警察署で鑑識の女性警官と話をしていた。 彼女は久藤が射殺した虎の鑑識を行い、薮田の指示で行った薬物検査の結果を告げに来たのだ。 シロサギの彼女の羽は幾分かバサバサになっている。彼女もまた署内での缶詰業務に追われていた。 「忙しい所悪かった。邪魔をしてしまったな」 「いいわ。これも仕事よ。久藤さんは?」 「医務室だ。LSDでパニックになった虎と立ち回ったんだ。無傷のはずが無い」 「そう。遺体を確認した皆が驚いてるわよ。……凄い射撃の腕だって」 「心臓に二発か。基本に忠実だ」 「知ってたの?」 「銃声は二回だった。それは久藤が射殺すると決めて撃った時だ」 薮田はするりと椅子から降り、その場から立ち去ろうとする。あまりに素っ気ない態度。 しかしそれが薮田だ。蛇そのものの生き方。 「どちらへ薮田刑事?」 「取り調べさ。あの猪を締め上げてどこからLSDを持ち込んだのか吐かせる」 「あなたが言うと冗談に聞こえないわね」 「冗談をいうタチじゃないさ。しかし……」 「しかし……。何?」 「この街で薬物犯罪が無かった訳じゃない。だがLSDが出て来たのはここ最近だ。それまではコークが主流だった」 「売人が乗り換えたんじゃないの?」 「違うな。コカインを転がし続けた連中がそうそう他のに手を出すはずがない。それにLSDは競合する薬物になる。 そうなればコカインの売上も落ちる」 「どういう事?」 「商売敵がこの街に来たって事さ」 薮田の推測が当たっているかは解らない。だがそんな事は当の薮田には関心は無い。 「あとは麻取と麻薬科の仕事だ」 薮田はそれだけ言った。彼は彼の仕事をするだけだ。 己の職務をまず第一に全力で行う。それが薮田の信念だった。 彼はそのまま、医務室に居る相棒を迎えに行く。そしてそのまま、持ち前の狡猾さで取り調べを行うだろう。
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スレ3 896 あたいの名前はヨーコ! 896 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2009/01/09(金) 18 47 31 ID YQPLI3+R 初等部も少ないとの事でお友達を追加したいなーと
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風にお願い 197 名前: 見習い ◆zYSTXAtBqk [sage] 投稿日: 2009/01/26(月) 09 02 36 ID NQbK+JOS 今日もかじぇが強いです (ttp //jp.youtube.com/watch?v=r0uBYHzCdmA)
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白黒つけたい 後編 154 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2008/11/26(水) 22 45 44 ID pPMr6iAb 前編 何かずっと投下し難くかったんですが、このまま引っ込めておくのも 勿体無いので。モエがプレイしてるのはエースコンバット。ロシア語良いよね。 ≫151 爪に色気を感じたのは内緒!
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FORMAT登場キャラ 20081129迄 E.Side ウルカ・エオゾーン 215 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2008/11/29(土) 15 05 52 ID byV3wMLE 見た目は大人・頭脳は中二な俺が描いてみた 携帯カメラからなんで画質最悪です、さーせん E.Side フォスター クラム H.Sideへ FORMATシリーズ:本編へ FORMATシリーズ:絵・漫画等へ戻る
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BAMBAA BLADE B 78 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2010/01/21(木) 19 48 02 ID YKDohJpS BBBパロ(ミサちゃんとりんごたん) ミサミサはこんなんで大丈夫だろうか…(´`)
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逆襲のサン 獅子宮先生のちょっとしたイタズラから始まったブームで、校長教頭に弱みを握られ、 将棋に付き合わされたり洗車させられたり踏んだり蹴ったりのサン先生。 ケモ学のトリックスター・サンスーシがイタズラの借りをイタズラで返すのは至極当然の事であった。 図書館に入ったサン先生は真っ先にカウンターへ向かった。ぴょんぴょん、と跳ねてみるが、 カウンターが高くて全然織田さんに気付いて貰えない。 図書委員の三人中一番デカい象の子を呼び、鼻を借りる。 豆の木を昇るマリオの如く鼻をよじ登り、織田さんに声をかけた。 「織田さん!お願いしたもの持って来てくれた?」 「あら、サン先生。ちゃんと持ってきましたよ」 「ありがとう!それじゃあしばらくお借りするね」 サン先生は織田さんから、何かが入った封筒と本のようなものを受け取った。 「ふふ、楽しみにしてます」と織田さん。 「まっかせなさ~い!」 サン先生は喜々として鼻の上を滑り降り、渡された物を頭上に掲げてトテトテ走って行った。 サン先生が駆け去るのを見届け、図書委員の三人は織田さんに聞く。 「織田さん。サン先生に何渡したんですか?」 「んー? 内緒。ふふふ」 「?」 織田さんの微妙な反応に、図書委員の三人は顔を見合わせるばかりだった。 サン先生は警察署を訪れた。別に切符を切られたわけではない。 「こんにちは!ウルフとジョー居る?」 「ああ、アイツらなら駐車場で昼飯食ってるんじゃないかな」 「ありがとう!」 駐車場に行き、メットにずんぐり腰掛けている柄の悪い警官に、元気一杯話しかける。 「やあやあ、ウルフ、ジョー! 今日もカップ麺かい?」 「うっせぇ、交通課のペーペーがランチ食って車のカスタム代払えるか」 「ははは、それもそうだ! 公務員って安月給で困るよね!」 サン先生は苛立たしげな警官を前にしても全く動じず、なお馴々しく肩に寄り掛かった。 「で、さ。例の物持って来てくれたかな?かな?」 「ああ、持って来たぜ。パトに放りこんである」 「ディード(良し)!!」 サン先生はいそいそとパトカーに潜り込み、目的の物を手に取った。何か古雑誌らしい。 パラパラとめくり──ニヤリ。 警官も──ニヤリ。 「ウルフ&ジョー、ありがとう! 今度美味い飯奢るよ!」 「獅子宮に4649な」 「OK! 夜露死苦言っておくよ!」 サン先生は古雑誌を抱き締めるように抱え持ち、ニシシとイタズラっ子のような笑顔を 湛えて、警察署を後にした。 「うわ、ちょ! 見て跳月先生! パソコンが歩いてるっス?! ゆゆゆ、UMA?!」 「……白倉先生、ムーの読み過ぎです」 「重いよ~!二人共見てないで手伝ってよ~!」 サン先生は物置──理系科目担当教師用職員室兼理科準備室に自分のパソコンを持ち込んだ。 UMAでは無いと気付いた白倉先生が、サン先生からPCを受け取って机に置く。 白倉先生の机には未だ強力磁石(メス付き)ががっつり接着しているので、跳月先生の机に置いた。 「いつも乗ってる台車使えばよかったじゃないですか」 「? 何言ってんのさ、はづきち先生。浅井カーは乗り物だよ?」 「……」 冷静なツッコミを、不自然な理由で当然の様に撥ね付けられ、跳月先生は言葉を失った。 白倉先生が話しかける。 「サン先生、この部屋磁石だらけだからPC置いておくのには向かないっスよ?」 「いやー、ボクもここが磁気嵐の渦中だってのは分かってんだけどね。職員室では出来ない仕事があるんだ」 「“職員室では出来ない仕事”と言いますと?」と跳月先生。 「見たい?」サン先生はニヤリとほくそ笑み、PCのスイッチを入れた。 手慣れた様子でマウスを繰り、画像のフォルダをダブルクリック。 「ぶはっ!」「ぷっ!」 白倉先生と跳月先生、両氏が同時に吹き出す。 サン先生が次々画像をクリックし、新たな画像が開く度に二人は改めて吹き出した。 「ハハハ、これを編集するのは確かに職員室じゃあ無理っスね」 「アハハハ、僕、逆に親近感沸きました」 二人の反応に満足し、大人の行動力を持ったイタズラっ子の眼鏡がギラギラと輝く。 サン先生は作業を開始した。 獅子宮先生は、くぁ、とひとつ欠伸をして職員室に入った。 「おはよう皆」 職員室の全視線が獅子宮先生に集まり、そして逸らされた。笑いを堪えているような節がチラホラ。 なんだか妙な違和感を覚えた獅子宮先生は、皆と同じく自分から目を逸らしている泊瀬谷先生に詰め寄った。 「おい、泊瀬谷。皆して何を企んでいるんだ?」 「あ、その、ええっとぉ……」口ごもる泊瀬谷先生。 「クフフ、廊下の掲示板見て来れば分かりますよ」と親指で廊下を示しながら帆崎先生。 「獅子宮先生、ボクは危険な香りのする女性って、カッコいいと思います」と慰めるような調子のヨハン先生。 獅子宮先生は怪訝に彼らを一瞥し、廊下に駆けた。 掲示板の前には人だかり。 だが獅子宮先生が来た途端にワーワーキャーキャー言いながら生徒達が散って行く。 残ったのはコーヒーを飲みながら掲示板を見ていた白先生だけ。 一体何が……? 獅子宮先生は掲示板を見て──眼を剥いた。 掲示板に張り出されて居たのは新聞部主催の週報であり、先生紹介コーナーなるものがあった。 それだけならば問題は無いのだが、そこにズラズラと張り出された写真が問題であった。 獅子宮先生がケモ学学生だった頃の、初等部から高等部までのクラス写真全部と卒業写真。 そして獅子宮先生が特集されている古雑誌の1ページ。 中学2年あたりから獅子宮先生はグレ始めたらしく、中3からは全て右上(撮影日欠席者枠)の住人と化している。 4枚も縦長の楕円に写っている写真が並ぶと笑うしかない。 卒業写真だけ中学も高校もちゃんと出席して写っているのがなんだか微笑ましい。 卒アルに書いた将来の夢もキッチリ載せられている。 初等部の時の夢:お嫁さん 中等部の時の夢:バイクレーサー 高等部の時の夢:天下無双 もうそれだけで死にそうな獅子宮先生だったが、古雑誌がトドメ級の大ダメージだった。 特攻服を来てゴテゴテに装飾を付けたバイクに跨がった獅子宮先生が、 “チャンプロード”の投稿コーナーにでかでかと掲載されていた。 「まぁ気を落とすな獅子宮。サンの怨みを買ったのが運の尽きだったのさ」 白先生は口からエクトプラズムをはみ出させて放心している獅子宮先生を保健室に搬送した。 終 関連:サン先生 獅子宮先生 織田さん ウルフ&ジョー 他の先生方
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図書委員入浴中
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スレ2>>576-582 あしたは、学園祭 「わあ!泊瀬谷先生、似合う!」 ええ?わたし…そんなに似合いますか?わたしの生徒たちのらんらんとした眼差しが、わたしに降り注ぐ。 黒色のワンピースに、白いエプロン。足元はニーソックスに、頭にはフリフリのカチューシャ…。 わたし、こういう格好は今までしたことが無いんです。でも…みんなが『似合う、似合う』って言ってくれるから、そうなのかな。 「先生!ほら、これ持ってよ!!」 「ええ?」 わたしに手渡されたのは、トレーの上にミルクの入ったグラス。犬飼さん、これを持って…? 恥ずかしさで縮こまるわたしの姿が、クラスのみんなには堪らないらしい。 でも…わたしって、そんなにメイド服が似合うんですか? そう。秋も深まり、この学校ももうすぐ文化祭の季節がやって来る。 クラス総出で模擬店を出したり、バンドを組んだりと生徒のみんなは、準備に時間を追われる日々を過ごしている。 そして、わたしのクラスのみんなが選んだ出し物は喫茶店。 実行委員の犬飼さんを中心に、飾りを作ったりアイデアを出し合ったりして、クラスのみんなで約一ヶ月間準備をしてきた。 しかし、生徒たちが用意してきたウェイトレスの服は一着しかなかった。どうして?って、犬飼さんに聞いてみたら、 「先生が着た方が、ぜったいかわいいって!」 と、良くぞ聞いてくれました!と言わんとばかりに張り切って答えてくれた。 そうなのかな…?今まで人生の中で目立ったことも無く、遠慮がちに生きてきたわたしだけど、 服装ひとつでこんなにドキドキできるなんて、まったく持ってしらなんだ。 でも、この衣装…あといくつか用意してるんだよね?きっと。 「ええ?このクラスの看板は先生ですよー!他に服装があるわけがないじゃないですか」 まさか、わたし一人で?犬飼さんは人を乗せるのが上手だ。いや…わたしの方が人がよすぎるのかもしれない。 周りの女子も一緒になって、やんややんやとわたしを盛り立てる。 「『いらっしゃいませー!ご主人さま』って、ほら!せんせ!!」 「い、いらっひゃいませ?」 「かわいい!!」 わたしがもじもじすればする程、犬飼さんをはじめ一同は黄色い声でわたしを持て囃す。 教室の隅っこでは、ヒカルたち男子生徒が着々と喫茶店の飾り付けを進めている。 明日は文化祭。お祭りは、楽しくね。 ―――1ヶ月前。学校は文化祭の準備に取り掛かる。 職員室の窓から放課後の中庭で、ヒカルが初等部の子ネコと大声を出していた。 ヒカルが叫べば、子ネコも続く。緑の中でいつまでも叫んでいる。 「あ!え!い!う!え!お!あ!お!」 「あ!え!い!う!え!お!ニャ!お!」 「あかんぼ赤いな、あいうえお!」 「あかんぼ赤いニャ、あいうえお!」 しばらく見ていると子ネコはもじもじしながら、ヒカルに縋り付くように話しかけ始めた。 うんうんと頷くヒカルは、優しく子ネコの頭を撫でている。まるで子ネコを苦しめる何かを払いのけるよう。 みかんを食べながらその光景を見ていると、ゆず湯を飲みながらシロ先生がわたしに解説してくれた。 「コレッタの学年では、学芸会があるんだ。それで、コレッタが不安になってさ」 「そうなんだ…。それで」 「そう。じゃあ、中庭で声出す練習しなさいって言ったら、毎日ああしてるんだ」 「へえ…。でも、ヒカルくんは…」 初等部の文化祭について、ヒカルは無関係なはず。と、シロ先生に尋ねるが。 「そこまでは知らん」と、一言。 幾ばくかの静けさの後、再び声が聞こえてくる。ヒカルとコレッタは、ベンチに仰向けで寝てさっきの続き。 シロ先生曰く、こうすると腹式発声の練習になり、喉を痛めないという。 「あ!え!い!う!え!お!あ!お!」 「あ!え!い!う!え!お!ニャ!お!」 こっそりヒカルとコレッタの側にわたしが近づくと気付いたのか二人は、ひょっこり起き上がった。 ヒカルは話す。お昼休みにいつも練習しているのを見るから、付き合ってあげているということを。 そして、毎日コレッタと残ってお芝居の練習についてあげていることを。 だけど、クラスの模擬店の準備もあるんだよ。と、ここは犬飼さんを見習ってビシッと言わなければ。 「うん…。でもね…ヒカルくん…」 「先生はヒカルくんの先生かニャ?」 「……」 ヒカルは貝のように口をつぐむ。 「聞いて、ヒカルくん」 「ごめんなさい、先生」 ヒカルとコレッタを見ていると、これ以上問いただすことを咎められる気がした。 わたしは犬飼さんには、なれない。 その日の放課後。わたしは学校の校門前で落ち葉拾い。急にサン先生が焼き芋をしたいと言い出したのだ。 生徒たちは家路を急ぐもの、のんびり帰るものと様々、そんな中に混じって下校途中のヒカルとコレッタが通りかかる。 ヒカルは自転車を押して、一方コレッタはヒカルの横に並んで歩いていた。 思わずわたしは自分の気配を消してしまったのは、何かを感じたからだろうか。 木の陰からそっとわたしは見守る。二人は何を話しているのだろう。部外者って分かっているけど、悪い子になったつもりで盗み聞き。 「大分、声が出るようになったね」 「うん。ヒカルくんと一緒に残って練習したおかげニャ。ヒカルくん、約束だからニャ?」 「うん」 「ぜったいニャ?」 「ぜったい」 なんだろう、約束って…。 ヒカルは自転車にすっと跨り、コレッタに申し訳ない顔をする。 「ごめんね、今日は早く帰らなきゃ…」 「明日も来るニャね!」 「うん」 指切りげんまんをしてヒカルはすっと自転車を走らせた。 その後ろからやって来たのは、実行委員の犬飼さんとクラスの女の子。 いつものような黄色い声で二人しておしゃべりに夢中、お年頃の女の子としてごくありふれたワンシーン。 二人の周りには花が咲き乱れているかのように華やかだが、その花に小さなとげが生えているのにわたしは気付いた。 「ヒカルくんったら、いっつも早く帰っちゃうんだもんね」 「そうそう、少しぐらいわたしたちのお手伝いしてもいいじゃん」 不機嫌そうな犬飼さんをかばいながら、女の子は自分の尻尾を回していた。 わたしの周りには落ち葉の山。ここまで成果が見えると達成感もひとしお。そこにサツマイモを持ったサン先生とシロ先生がやって来る。 アルミホイルに包まれたサツマイモを落ち葉の山に埋めて、古新聞を種にマッチで火をつける。 パチパチと秋の音を立てながら、煙を立てる落ち葉の山。煙の向こうからシロ先生がヒカルのことを話している。 「猪田先生に聞いたんだが、ヒカルの家って共働きなんだよな」 「ええ?ええ。お父さんが児童小説の作家で…」 「うん、で、母親は商社勤めでキャリアウーマンって聞く。海外出張に出たりして なかなか母親は家にいることが少ないらしい。だから、ヒカルは家事を少しばかり手伝っているらしんだ」 ヒカルの担任なのにどうしてそこまで知らなかったのか、わたしはなんだか恥ずかしくなってきた。 一度、ヒカルの家に行ってみなきゃ…と思っていると、急にサン先生がぱあぁっと明るくなる。 「文化祭、張り切ってますよ。ぼくも頑張らないと…」 「ええ?先生が?」 「実はですね。高等部の美術部の子たちがね、アニメを作るって言ってぼくもアフレコに参加させてもらうことになったんです。 今や個人ユーザーレベルのPCで、CGアニメなんかすぐできちゃいますからね。 ウチの学校の美術部、レベル高いんですよねえ。カット割りの天才が居るんです。能ある鷹はなんとやら…」 全然知らなかった。わたし、生徒どころか学校のこともよく知らない。頑張らなきゃ…。 さっきから煙はサン先生の方ばかり流れてゆく。シロ先生は「煙に好かれたな」とすまし顔。 サン先生は落ち葉の山の周りをくるくるまわるが、じゃれ付くネコのように煙に付き回されていた。 焼き芋が焦げてますよ…。と、落ち葉の中を枝で穿り返すと、中から紙くずが出てきた。 紙くずは拾っていないはず、どこから紛れたんだろうと思いながらよく見ると、サン先生が少し青くなっているではないか。 すかさず、シロ先生が横目でサン先生を睨む。口数は少ないが、シロ先生の尻尾は雄弁だ。 「サン先生、もしや…また、先生がわたしのマンガでも描いたのか?この間といい…」 「ええ?保健室のマンガなんか知りませんよ。オキシドールなんか知りませんよ。ね、泊瀬谷先生」 「なんですか、それ」 サン先生は、煙から逃げながらケラケラと笑う。そして二言目には… 「煙に巻いてみせましたよ。ニシシ」 サン先生、シロ先生に『お願い、突っ込んで!』って顔をしてニコニコしているが、無論シロ先生は無視。 サン先生がちょっとかわいそうになり、わたしはサン先生に向かって突っ込んだ。 「な、なんでやねん?」。 ―――明日は文化祭初日。時間も夕刻近く、犬飼さんが男子生徒たちに檄を飛ばす。 時間は待ってくれないぞ、ここの飾りはこうだ、テキパキと仕切る犬飼さん。 彼女はわたしには持ってないものを持っている。と感心していると、廊下が騒がしいことに気付いた。この校舎では聞きなれぬ声も聞こえる。 「ヒカルくんのクラスはここかニャ?」 高等部の生徒たちに囲まれていたのは、コレッタであった。 コレッタはお姫さまのドレスに身を包み、頭には可愛らしいティアラをつけている。 普段、初等部の生徒は高等部の校舎に来ることはない。なのに、わざわざコレッタがここまで来たのは、 何かしらの故あってなのだろうか。しかも、お姫さまの格好をしているし…。 恐る恐るわたしはコレッタに尋ねると、彼女は張り切って答える。 「ヒカルくんの先生ニャ!あしたの本番をヒカルくんに見てもらいたくて、宣伝にここまでやって来たニャ」 「その格好…もしかして?」 「あした、わたしは『お姫さま』の役をするニャよ。似合ってるでしょ?あ!ヒカルくんニャ!!」 教室からヒカルが出てきた。コレッタの声が聞こえたからだろうか。コレッタはスカートを摘み、ヒカルに衣装の自慢。 コレッタの肩をポンと叩くと、ウンと小さく頷くヒカルは優しくコレッタに言葉を送る。 「明日はきっと、大丈夫」 「うん!がんばるニャ!」 「うん」 「それはそうと約束はまだかニャ?」 そういえば、そんなことも言っていたっけ。 ヒカルとコレッタの約束…。恥ずかしげに「いいよ」と答えたヒカルはくるっと踵を返す。 ふわりとヒカルの尻尾が弧を描いて一緒に回る。 「うわーい!もふもふニャ!!」 コレッタはヒカルのふっさふさな尻尾に抱きつき、顔を埋めていた。無邪気なコレッタの笑顔に思わずクラスのみんなも笑っていた。 一方、ヒカルはヒカルで少し恥ずかしそうな顔をしている。約束とは言え、こんな所で果されるとは、ヒカルも思ってなかろう。 太陽をいっぱい浴びた枕を抱えるように、ヒカルの尻尾を両腕で抱えながら、コレッタはわたしに話しかけてきた。 「そうはそうと、ミルクを一杯頂けニャいかしら?」 「ええ?」 「メイドさん、とびっきりの新鮮なミルクをお願いニャ!」 しまった。メイド服を着たままだったことをすっかり忘れていた。 これじゃ、どう見ても『お姫さまとお付の侍女』。振り向くと、気配り上手の犬飼さんがコップにミルクを注いでいた。 「コレッタ!だめじゃないか。こんな所に…」 廊下をバタバタと駆けてくるのは、サン先生とコレッタのクラスメイトだ。 クラスメイトは同じようにお芝居の服装をしている。サン先生、初等部の算数も担当していることもあって、 初等部のお子たちにも人気。だけど、コレッタはヒカルの尻尾が気に入ったのか、先生の言うことをちっとも聞かない。 「…もうちょっと、もふもふさせてニャ…」 「コレッタ!ずるい!!わたしももふもふしたいよ!」 「クロ!わたしもしたいんだから!もふもふ!!」 「ミケはあと!!」 「コレッタ!ミケ!クロ!さあ、もう夕方だから下校の時間だよ」 しぶしぶヒカルの尻尾を手放し、サン先生から背中を押され帰ろうとしているコレッタ。 帰り際にこちらを振り向き、ヒカルにポツリと投げかけた。 「ぜったい、あしたは見に来てちょうだいニャ!」 「……」 きっとヒカルは準備をろくに手伝う事ができず負い目があり、それ故に途中でクラスの模擬店を抜けることに躊躇しているのだろうか。 わざわざここまでコレッタが来てくれたのだ。見に行けるものなら行ってみたい。 が、いつも一人っきりであることが多いヒカルとて、クラスのことには参加したいだろうし。 メイド服のエプロンを翻して、わたしはヒカルにビシッと一言。 「ヒカルくん、わたしが許可します。学芸会の時間は抜けていいですよ」 「…先生」 「ぜったい来てニャ!」 ヒカルはわたしにお辞儀をしていた。コレッタがいよいよ帰る間際に、サン先生はわたしの姿に今更ながら物申した。 出来ることなら気付かずにそのまま戻って欲しかったのだが、サン先生のことだから仕方がないか。 ニコニコしながら、サン先生はメイド姿のわたしを見て何かを閃いていた。 「泊瀬谷先生、お似合いじゃないですか」 「あ、ありがとうございます。生徒たちが…」 「うーん、ここの模擬店だけで披露するには勿体無いですね。先生」 いけない。サン先生の目がいたずらっ子のようになってきた。 メガネの奥で光るサン先生の目はこの中でいちばん幼く見える。そして、次に出たセリフは…。 「これは…、いや…実は、この間話していた美術部の作っていたアニメが完成しましてね。 文化祭初日に美術室で上映会をするんですが…。泊瀬谷先生、ね!ぜひこの衣装で上映会に…。生徒たちも喜びますし」 「ええ…?でも…クラスの喫茶店もありますし…。へへ」 ところが、気配り上手の犬飼さんがグラスにいっぱいのミルクを持ってビシッと一言。 「泊瀬谷先生。わたしが許可します。上映会の時間は抜けていいですよ、」 いちばん嬉しそうなのは、生徒たちより無論サン先生であった。 おしまい。 関連:泊瀬谷先生 ヒカル サン先生 コレッタ
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山野家のXmas 685 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2008/12/23(火) 13 54 24 ID u9MH0N2d こっちの家族は楽しみにしてるみたいだけど、今年は中止なんだっけ?